生物多様性条約第11回締約国会議…COP11のご報告。

2012年10月20日/ 生物多様性

ご訪問、ありがとうございます。大変長らくお待たせしました。

2012年10月10日から16日の日程で、インド・ハイデラバードで開催されている「生物多様性条約第11回締約国会議」・・・いわゆる「COP11(コップイレブン)」に参加してきました。

【 COP11のシンボルマーク 】
COP11-logo


各国の首脳や大臣らが議論するのはメインイベントのほうで、私はNGO団体などが議論するサイドイベントに参加しました。

私は主にILCs(Indigenous and Local Communities:先住民族・地域共同体)の集まりに参加しました。

「先住民族」ということで、私は「琉球民族」の一人として参加させて頂きました。

「琉球民族」と言っても、自分にその自覚があるかというと、あまりピンと来ないです。

まあ、それは学校や地域や家庭で幼いころから「私たちは『沖縄県民』だよ。『うちなーんちゅ・沖縄人』だよ」といった言葉に慣れ親しんでいるからでしょうね。

私たちがヤマトグチを話しても、ジーパンやスカートを着ても、琉球民族の遺伝子を引き継いでいることは確かなのですが、堂々と「私は琉球民族です!」と言えるのかというと、ちょっと考えてしまう。堂々と「うちなーんちゅです!」とは言えるけど。

そこらへんは、似たような境遇にあるハワイの先住民族の暮らしぶりを見れば、答えが見つかるかもしれない。



さて、インドへの渡航は今回が初めてで、且つ、海外へ出るのも初めてでした。

「沖縄が好きだから、海外へ行くこともないだろう」と思っていましたが、今回は「沖縄が好きだからこそ、海外(インド)に行く必要がある」という状況でした。

しかし、英語は苦手で英会話はあまりできません。

沖縄からは私一人の参加で、旅行ツアーのように添乗員さんがいる訳でもなく、海外旅行が初めて。

なかなか苦労しましたが、「何とかなるもんだ」とも思いました。



現地でいろいろ見てきましたが、COP11の会議(討論会)について話したことなどをご報告します。



私がスピーカー(発言者)として最初に参加したサイドイベントは、2012年10月11日午後6時15分(現地時間)、大会議室「Holl-2」で行われた討論会です。

タイトルは「生物多様性の持続可能性について先住民族の伝統知識を共有する」です。

英語の原文は「Sharing traditional knowledge of social minorities on biodiversity and ecological sustainability:
in search of an equity-based eco-development」です。

インドに入る前にあらかじめ文書は作成していて、当日の討論会では事前にそれを配布していました。

持ち時間は約10分間でしたので、その文書を全部話して、且つ、英語で通訳までしていると時間がないので、文書以外で準備していたパワーポイントを投影しながら説明するというやり方で進めました。
(パワーポイントのデータが欲しい方は、左の「オーナーへメッセージ」でご連絡ください。容量は5.2MBです。)

私の日本語での説明の後、SILCジャパンの武者小路先生が通訳してくださいました。

普通に通訳するだけでなく、私の説明が不足していたら、きちんとカバーして補足していました。

パワポを使いながら話した内容は、大体、下記のような感じです。


【1】
沖縄県は、元々「琉球」という王国であり、中国や東南アジアなどとも交易があったが、1609年に薩摩の侵略を受けて支配された(琉球藩になった)。
1879年には「琉球処分」され、沖縄県として日本の一県に組み込まれ、主権を失った。
その後も植民地的な、差別的な扱いが続いている。

【2】
1945年には、第二次世界大戦があり、沖縄県では住民を巻き込んだ戦闘が行われた。
多数の戦没者だけでなく、歴史や文化など貴重な財産が失われた。
戦時中や戦後に、多くの米軍基地が建設された。
住民らは、住む場所や農地などを奪われた。
今現在も、米軍機による事故や、米兵による犯罪などによって、沖縄県民は苦しめられている。

【3】
北部の貴重な自然も危機に瀕している。
そこへ追い打ちをかけるように、普天間飛行場の代替施設として、辺野古に新しい基地を造ろうと計画している。
同様に、北部訓練場に隣接している高江地区に「ヘリパッド」を造ろうとしており、住民は抗議している。

【4】
沖縄の歴史文化として、グスクや聖地(御嶽)などがある。
普天間基地の中にも御嶽が存在するし、辺野古の基地建設予定地にも御嶽がある。
これらも、「銃剣とブルドーザー」によって失われた。
今も基地建設の脅威にさらされている。

【5】
豊見城での活動状況。
(詳しいことは配布資料に記述してあるので、パワポで画像などを紹介する程度でした。)
とよみグスク、ラムサール条約登録湿地の漫湖、クロツラヘラサギの紹介。
グスクの城門。
小さな火葬場を大規模に建て替える計画。
パンフレットを作成し、地元で配布。

【6】
最後のまとめとして、沖縄では辺野古や高江など各地で自然環境問題がある。
普天間基地への「オスプレイ配備問題」では、多くの県民が反対し、基地の入り口で「座り込み抗議」を行っているが、地元の警察官によって排除された。市民の中にはケガ人も出た。
10月1日にはついにオスプレイが配備された。
私たちは今後も活動を継続していく。


このような説明を行った後、質疑応答の時間で会場からこんな質問(というか意見?)が出ました。
「なんで(住宅の近くに)こんなものを作るのか?ヘリパッドは必要ない」とのこと。
まあ、だからこそ住民は抗議している訳ですが。
この質問に対し、日本環境法律家連盟の三石さんが活動状況なども踏まえながらお答えしてくれました。


ここまでが10月11日の討論会です。

その翌日、ILCs(先住民族・地域共同体)が集まる会議室にて、進行役(?)の "Paul Lee"さんから、「討論会で使っていたパワーポイントのデータが欲しい」とお願いされました。
メールに添付して送ってはみましたが、送信エラーが出てしまい送れずじまい。

日付は変わって、10月14日は昼食後に「ダリット」という村に行きました。
この村では、差別による事件(女性が殺される)が起きてしまいました。
詳しくは、何かの機会で説明できればと思います。

10月15日の午前中はILCsのミーティングに参加し、約15分のお時間を頂いて発表ができました。
この発表では、辺野古、高江、オスプレイ、国連人権委員会への手紙、といったことを話しました。
ちなみに、ここでの発表では三石さんがパワーポイントを作ってプレゼンしてくれました。

そして、同日の夕方は別の部屋でABS関連の会議が行われました。
この場でもスピーカーとして発表しました。
ここでは、岡田吉央さんが作成した資料を配布していたので、私のほうではかなり大雑把な説明を行いました。



COP11での報告は以上の通りです。

スピーカーとして発言をしたのは3件です。

主にアピールしたのは、米軍基地問題です。

普天間飛行場にオスプレイが配備されるなど、名古屋でのCOP10から何も変わらない、というか悪化しています。

COP11のあと、どのような展開になるのかは分かりませんが、次回のCOP12までには何らかの成果が出せればと思います。

ご支援してくださった皆様、ありがとうございました。



最後に、COP11に集まった、世界の先住民族の人たちのネットワークに「IIFB」というものがあるようで、そこのWEBサイトに沖縄からのメッセージが載りました。
http://iifb.indigenousportal.com/2012/10/18/message-from-indigenous-nation-of-ryukyu-okinawa/

世界の皆さんも関心を持ってくれています。

共に協力し合って、全基地撤廃まで頑張りましょう。




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Posted by 瀬長修 at 14:08│Comments(0)
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