やり玉にあげられる環境保護団体

2011年11月12日/ 環境問題

ご訪問、ありがとうございます。

昨晩は地元自治会の評議員会(役員会)に出席してきました。

火葬場建設に伴って、漫湖に繋がる饒波川沿いのアクセス道路建設についての話し合いが行われました。

話し合いといっても、ほぼ全員が道路建設に賛成の立場で、反対意見を述べたのは私一人でした。

異論のあった人もいたかも知れませんが、黙して語らず。というより、あの雰囲気は自分の身を守るために「余計な口出しはしないでおこう」という感じでしょうか…。



この道路建設の賛否について出てきた意見は次のようなものです。




漫湖に繁殖したマングローブについての意見
『あれは20年くらい前に、環境保護団体が植えて、あんなに広がったんだよ。
そのせいで、根っこのところにゴミが引っ掛かって、見っともなくなった。
汚れて汚くなった』
という意見。
これまでにその意見は数回聞きました。

確かにマングローブがここまで繁茂することは、予測できていなかったはずなので、植えた環境保護団体も反省するところはあると思います。

しかし、自然環境を守ろうとしてやったことが、裏目に出たということであって、悪意があってやった訳ではありません。

それなのに、いかにも「環境保護団体はろくなもんじゃない」と言わんばかりで、完全に悪者扱いしていて腹が立ちます。

『ゴミが引っ掛かって、余計に環境悪化した』
という意見は、誰かが言い始めて、みんながそれをよく考えもせず真に受けてしまっています。

「増えすぎたマングローブと引っ掛かるゴミ」について、きちんと説明したいところですが、とてもとても聞いてもらえる雰囲気がありません。

彼らは「マングローブを植えた環境保護団体」を悪者扱いしていますが、それでは、マングローブが無かった場合を想像してみてほしいものです。

ゴミ自体はポイ捨てゴミなどが上流のほうから流れてきているので、マングローブがない状態なら海に出ることでしょう。

海に出たゴミは漂流して、いずれはどこかの海岸線の漂着ゴミになるはずです。

アメリカ西海岸で日本のゴミが流れ着いた、というニュースもありましたね。

マングローブがなければゴミは引っ掛からないので良い、という意見は、「どこかの海岸線の漂着ゴミになれば良い」と言っているのと同じです。

マングローブが悪いのではなく、ゴミのポイ捨てが問題なのに、みごとにすり替えて、環境保護団体を悪者扱いにしています。

自分の目に見える範囲からゴミが消えれば、それでOKという考え方は視野が狭いとしか言いようがないです。

「道路を造るために、邪魔なもの・意見は排除しよう」という意識が強く働いているから、「ゴミが引っ掛かって汚い→環境保護団体はダメ→意見など聞かなくていい」という思考をしているようです。



その他にも、変な意見はたくさんでました。

南部の6市町が使用する火葬場建設であるのに、
『渋滞すると困るからこの道路を早期に造ったほうが良い』
という意見。
しかし、この道路は那覇市に繋がるので、火葬場利用に伴う渋滞は無関係です。要するに「火葬場を造らせるのだから、ついでに道路も整備してくれ」ということです。

『人間が元々住んでいた。鳥はあとから来たんだよ』
という意見。
数十年前がどうだったのかは知りませんが、渡り鳥がたくさん飛来するようになったからこそ、12年前にラムサール条約にも登録できた訳です。
別の角度から言うと、鳥類のほうが人類よりも先に誕生しています。
後から出てきた人類が、自分達の都合の良い開発などを行ったりして、他の動植物の生活環境を脅かし、絶滅に追いやった種は数知れず。それを棚に上げて論じています。

ちなみに、私が道路建設について反対意見を述べるときに、「生態系の破壊が懸念される」とは言いましたが、「鳥」という単語は使いませんでした。
「鳥はあとから…」という意見も既に用意していた「反対意見に対する反論」でした。


他には、
『豊見城は他の地域(おそらく那覇市を見ている)に比べて、遅れている』
と言う意見。
「遅れ=悪い」という拭いきれないような固定観念。
あるいは「取り残されたくない」という強迫観念なのでしょうか?
沖縄にやってくる観光客の多くは、「都会化が進んだ本土にはないもの」を求めてやってくるはずです。
「本土にないもの」は、豊かな自然だとか、古風な民家だとか、なにより「人々の優しい心」だと思います。
沖縄が第二の東京になっても、観光客は今までどおりやってくるんでしょうか?自然が失われ、心も失われては、魅力のない島になりそうです。



今の時代、自然保護は重要です。
生きている私たちの世代の問題だけでなく、子や孫、まだ生まれていない世代もその影響を受けます。
次の世代の事も考えたら、安易な開発行為を繰り返すべきではないでしょう。




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Posted by 瀬長修 at 17:38│Comments(2)
この記事へのコメント
瀬長さんこんちにわ。
既にほろ酔い状態で書いてるので上手く伝えきれないのですが、最近思うことを書いてみます。

環境を守るといっても、向かっている事は団体それぞれで違っていて、関わっている人の中にも「これはおかしいのでは?」と考えずに、都合がいいことに付いていっている人が非常に多い気がします。

たとえば、先日「車買い替えると、ガソリンの二酸化炭素は減るけど、車を作るための二酸化炭素と比較した場合、どちらがいいのでしょう。」という質問のような具合です。

これは今回協議している相手にも似た図式だと思います。

こちらでは諸事情により詳しく書きませんが、国場川の鳥が減ってるのは、抜けている別のことに原因ありだと思っていますよ。

近いうちにお会いして、お話したいですね〜。
Posted by sacom at 2011年11月12日 18:18
sacomさん
コメントありがとうございます。
長文でしたが、読んでいただいて嬉しいです。

環境保護団体も多種多様ですよね。
専門分野が山だったり、川、干潟、海、植物、動物など様々。
手法も、法律に照らして違法性を訴えたり、住民運動を展開したり、環境学習を実施したり。

それぞれの性格というか得意分野があって、個性が出ているのだと思います。
各団体ができることを実践していけば良いと思います。
そこで注意したいのは、自分達の活動が他の団体の活動になんらかの影響を及ぼさないか?ということ。

その場合はちゃんと話し合いで解決していければいいと思います。「環境保護」という、目指す方向性は同じなので。

他にも、「安心・安全のために…」とか「自然エネルギーの活用…」とか、聞き心地は良いのですが、安全のための防波堤建設は自然の海岸線をなくしますし、風力発電は低周波音による健康被害も懸念があります。

何かと難しい問題が多く、一般市民は関わりにくいものがあると思いますが、大事なことなので「傍観者」になってほしくはないものです。

以前、友人らにこういった話を何度かしてみましたが、中には「お前は偽善者だ!」とまで言って非難する人もいました。
その人も聞く耳を持てなかったようで、あとは私のほうがぶち切れました。

こちらは「まともな話し合い」をしたいのですが、相手のほうに意見を聞く度量がなければ、売り言葉に買い言葉でケンカになってしまいます。
自治会での会合でも、まずは話し合いの土台が必要だと思いますが、「怒りんぼ」が一人でもいたら反論を出す人も減り、「独裁国家」を連想してしまいます。

「道路を造る」うんぬん以前の問題かも知れないです。
長々と失礼しました。
Posted by 瀬長修瀬長修 at 2011年11月13日 11:03
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