ヘアドライヤーの消費電力
ご訪問、ありがとうございます。
私が使用しているヘアドライヤーの消費電力を調べてみました。
衝撃的な結果でしたので、全国民に知らせたい!と思っていましたが、「計測値の読み違い」のようでした。(2010.10.18時点で、計測値は修正しましたが、文章の大部分は「読み違い」したままの記述ですので、あしからず。)
このドライヤーは、2004年製で、メーカーは日立です。
品名は「POWER MATE」と書いています(パワーメイトと読む?)。
他には「ハイパワー 1200W」という謳い文句が書かれています。
型番は「HD-1271」です。
スイッチは、冷風、温風、ターボの3種類があります。
調査で使う機器は「ワットアワーメーター」というすぐれものです。(約3万円で販売されています。私は、沖縄県公衆衛生協会から無料でお借りしました。)
精度の高さでは(以下の3種類しか知りませんが)
エコワット < ワットチェッカー < ワットアワーメーター
の順になり、この中では最も高精度です。
まずは、待機電力のほうですが、プラグを差し込んだだけでは0.0Wでした。機械式扇風機と同様です。
使用中(安定稼動時)の消費電力は、目を疑いました。
冷風(COOL) 61W
温風(HAIR SET) 56W 560W
ターボ(TURBO DRY) 1060W
追記(2010.10.18)
温風の値は、「56」ではなく「560」です。
ワンランク下の精度である「ワットチェッカー」を使ったことで判明しました。
(平山様のご指摘がなければ、そのままだったかも知れません。ありがとうございます。)
一応、ワットチェッカーでは大体540Wぐらいを示していました。
読み違いをした「ワットアワーメーター」の計測精度は、「0.1W」ということで、小数点第一位までの精度がありますが、今思えば取扱説明書に「100W以上の消費電力の場合、計測できる最小単位は1W」といった注意書きがあったような気がします。
100W以上になったら自動的に整数部のみの表示になる訳です。
ところが私ときたらすっかり忘れて、「冷風:61.0」という3桁表示のイメージを持ったまま「温風:560」を「56.0」と勘違いしてしまいました。
計測してきた電化製品はそのほとんどが100W未満だったという事もあり、読み違いしやすい状況だったと思います。
(がっくりです。すみませんでした。)
このドライヤーのスイッチは、切の状態からスライドしていくタイプで、切→冷風→温風→ターボとなっています。
直感的には「スライドするにつれて消費電力が上がる」と、ずっと思っていました。ところが、2番目に来る「温風」の方が一番低い値となっています。冷風と温風では「温風のほうが低い」ということ自体、驚きです。
更に、温風とターボの違いも明らかにおかしいです(およそ20倍です)。送られてくる風の温度は、温風もターボも熱い風が送られます。
一応、ターボの方が2~3度くらい熱いかも知れません(良くても5度くらいでしょう)。
主な違いは、「ターボのほうが少し風力が強い」というだけです。
しかし、消費電力でこれだけの差が出るなんてとても納得できません。
「ターボは細工されている」と直感しましたが、確証があるわけではありません。
念のため、他のドライヤーも調べてみました。(メーカーなどは忘れました。)
ターボは1100Wぐらいで、温風は600Wぐらいありました。冷風は50~60Wぐらいだったと思います。
イメージとしては、こちらの数字がまともそうに見えます。
しかし、このドライヤーは「ターボも温風も細工されている」とも考えられます。
少し長い話になりますが、私達消費者は、メーカー側や家電量販店側の販売戦略に踊らされている感じが否めません。
ターボの機能が付いたのは十数年前くらいでしょうか?もっと古い世代のドライヤーは、温風か冷風の2種類しかありませんでした。
髪を乾かすためなら当初は温風だけで充分満足したと思います。
ドライヤーと言う商品自体、精密機械ではありませんから構造は単純だと思います。
単純構造であれば故障も少ないでしょう。一定量が市場に出回って、すぐに飽和状態になると思います。
何らかの魅力がなければ、買い替え需要はなかなか起きないと思います。
ここからは推測になりますが、ドライヤーを売り込むために、「新たなキャッチフレーズや新機能が必要だ」と考えたのだと思います。それを思い付いたのがメーカー側なのか、販売店側なのかは分かりません。
そこで、消費者側から「もっと速く乾かしたい」という要望を取り入れようと考えた。
熱風の温度を上げると(おそらく)髪へのダメージが大きくなるため、温度を上げるより風力を強くしようと考えた。
そして「ターボ」というボタンが追加され、ボタンを押すと強い風が出るようになった。(昔のターボボタンは独立していたため、冷風を使っている時も強い風が送られてきました。)
最初に考案したメーカーとしては「他社との差別化」を図って販売数を伸ばしたかったところでしょう。
しかし、一社が「ターボ」を開発すると、全社同じ事を真似します(負けたくないために)。
結局、全社にターボが装備されました。(ターボが付いていないドライヤーって、今現在あるのでしょうか?)
まだその頃の消費電力はせいぜい100Wぐらいだったかも知れません(正確なことは分かりません)。
「ターボでは差別化ができない(真似されたので)」と考えたメーカーは、次に「ハイパワー」を前面に出しました。
うたい文句は「強力!500Wのハイパワー!」などです。
ターボボタンだけで止まっておけば良かったものを、「消費電力」という分かり易い数値を使用し始めました。これが悲劇の始まりだったかも知れません。
その後はこうです。
「あっちのメーカーが500なら、うちは600で!」、
「600なら800…」、
繰り返すうちに、現在は1200Wに到達しています。このぐらいの数値になると、だいぶ落ち着いてきたように思いますが、これはメーカー側が意図的に「自主規制」したものだと思います(後述します)。
実際にワット数が上がった新商品を市場に投入すれば、それなりに売れたのだと思います。
肝心の温度や風の強さがそれほど変わらなくても…。本来、そこまでワット数が上がるのであれば、火傷するくらいの熱風になっても良いはずです。
しかし、当然の事ながら安全上の理由で温度は抑えられています。
ということは、ターボ機能はドライヤーの内部で「無駄に電流が流れる仕組みがあって、ワット数が上がっている」と考える方が、すんなり納得できるというものです。
幸か不幸か、ある時点でワット数の上昇は止まりました。
上昇の具合から考えると、現在(2010年時点)では3000Wがあってもおかしくないのですが、そうなってはいません。
これは、おそらくブレーカーが落ちるのを防ぐために、メーカー側が自主規制したのだと思います。結果的にワット数の過当競争も頭打ちになりました。
まあ、ユーザー側も「ワット数を頼りに」商品を選んでいた節があるため、仕方がなかったかも知れません。(メーカーとしては「買ってもらうためにワット数を上げる」のが命題になっていたと思われます。)
その後、メーカー側は「マイナスイオン」などで差別化を図り、ワット数以外のところで競争が繰り広げられるようになりましたが、一度消費者に植え付けた(しかも意図的に植え付けた)イメージがあるため、ターボ機能も残し、ワット数を下げることもありません。
メーカーや家電量販店には反省してほしいところです。と同時に、私たち消費者もこんなことに振り回されないように注意する必要があります。
似たような事例は他にもありますよね。身近にあるもので、分かり易いものといえばデジカメなどがそうです。
デジカメは「画素数」が競争の対象になってしまいました。
私が初めて買ったデジカメは、2000年1月のデジカメで130万画素でした。当時は「メガピクセル」と呼ばれ、その先駆けとなった機種でした。(ちなみにこのデジカメは今でも現役で使っています。)
このデジカメで「高画質(ハイクオリティー)モード」で撮影し、比較的性能の高いプリンターで、用紙は写真用紙を使って印刷すれば、フィルム写真に劣らないほどの出来栄えでした。
個人の趣味程度で使う分には、デジカメの画素数は200万以下で充分なのかも知れません。
しかし、ご覧の通りの状況で、今では1500万画素を越えるデジカメが出回っています。
画素数はどこまで上がっていくのでしょう? 高画素数のデジカメを買うユーザーが減らない限り、延々と画素数は上がっていきそうです。
デジカメの画素数が上がること自体は、消費電力が上がる事に比べればそれほど有害性がないようにも思えます。
しかし、冷静に考えると、メーカー側のこのような戦略は「大量生産・大量消費・大量廃棄」を生み出しています。これもまた悲劇と言えそうです。
デジカメが壊れて買い替えるならまだいいとして、壊れていなくても2~3年で新品に買い替えるのは疑問が残ります。
大事なコメントを忘れていましたが、ドライヤーでの節電方法はターボを使わないことです。
私の場合、冬以外であればドライヤーすら使わずに自然乾燥させていますよ。
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